中学受験の理科 植物(アサガオ)の受粉実験についての問題演習と解説
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2021/07/05
この演習問題は、かならず以下の学習を終えてから取り組んでください。
植物の自家受粉と他家受粉
⇒ 中学受験の理科 植物の自家受粉と他家受粉
【問題】
翌日に開花しそうなアサガオのつぼみを使って、以下のA~Hのような状態にして、実ができるかどうか実験しました。
【A】
そのままにした。
【B】
つぼみの状態で、おしべを取った。
【C】
つぼみの状態で、めしべを取った。
【D】
そのままにして、ふくろをかぶせた。
【E】
つぼみの状態でおしべを取って、すぐにふくろをかぶせた。
【F】
つぼみの状態でめしべを取って、すぐにふくろをかぶせた。
【G】
翌日に開花した直後に、おしべを取った。
【H】
つぼみの状態でふくろをかぶせて、翌日に開花した直後におしべを取った。
実験の結果、A・B・D・G・Hには実ができ、C・E・Fには実ができませんでした。
(1)
実を作るために、おしべが必要であることを確認するには、A~Hのうちどれとどれを比べればよいですか?
(2)
アサガオが自家受粉する植物であることを確認するには、A~Hのうちどれとどれを比べればよいですか?
(3)
アサガオの自家受粉が、つぼみのとき(開花する前)に行われることを確認するには、A~Hのうちどれとどれを比べればよいですか?
(4)
アサガオが他家受粉によっても実のできることを確認するには、A~Hのうちどれとどれを比べればよいですか?
解答と解説
【解答】
(1) DとE
(2) DとE または EとH
(3) EとH
(4) BとE
【解説】
(1)
「実を作るためにおしべが必要」であることを確認するには、おしべ以外の条件が同じで、「おしべの有無によって結果が異なる」ものを比べる必要があります。
おしべ以外の条件が同じ「AとB」は、どちらも実がなるので、比べても求めたい結果を得られません。
よって、比べるのはD(おしべあり、実がなる)とE(おしべなし、実がならない)です。なお、Eは花の内部に花粉がなく、花の外部からも花粉は運ばれてこないため、実がならなかったと考えられます。
(2)
「アサガオが自家受粉する植物」であることを確認するには、他の花から花粉が運ばれてこない環境(ふくろをかぶせた状態)を用意して、「同じ花の花粉がある場合とない場合」を比べなければなりません。
同じ花の花粉がないのは「E(実ができない)」であり、あるのは「DまたはH(ともに実ができる)」です。
ちなみに、「F(実ができない)」と「DまたはH(ともに実ができる)」を比べて分かるのは、「実を作るためにめしべが必要」ということになります。
(3)
アサガオの自家受粉が、つぼみのとき(開花する前)に行われることを確認するには、おしべを開花する前に取ったもの(E)と、開花した直後に取ったもの(H)を比べることになります。
D(実ができる)とE(実ができない)を比べることで、自家受粉することは分かりますが、いつ受粉したのかは不明のままです。
(4)
「他家受粉でも実ができる」ことを確認するためには、花の内部に花粉はなく、「花の外部から花粉が運ばれる環境」を用意しなければなりません。その条件を満たすのは、Bだけです。
BとEは、「花の内部に花粉はない」という同じ条件のもとで、「花粉が外部から運ばれる場合(B)」と「外部から運ばれない場合(E)」を比べる実験となります。
これまで見てきたように、アサガオは自家受粉・他家受粉ともに可能な植物ですが、通常の環境で行うのは自家受粉です。早朝に開花するアサガオは、朝を感じて花を開くのではなく、前日の夜が始まってから(暗くなってから)約10時間後に開花します。
その約10時間のあいだに、つぼみの中で以下のような手順を経て自家受粉を行うわけです。
- 夕方に、つぼみがふくらみかけた頃は、おしべがめしべよりも下の位置にあり、やく(花粉を入れるふくろ)はまだ開いていない。
- しだいに、おしべがやくを開きながら、めしべを追いぬいていく。
- 追いぬくときに、おしべは花粉をめしべの柱頭におしつける。
- 明け方までに、すべてのおしべは、めしべを追いぬく。
- 翌日の早朝に花が開くころ、すでに自家受粉を終えている。
「植物の自家受粉と他家受粉」にもどりましょう。
⇒ 中学受験の理科 植物の自家受粉と他家受粉
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