中学受験の理科 植物の蒸散量を比較する問題演習と解説
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2021/06/27
この演習問題は、かならず以下の学習を終えてから取り組んでください。
植物の蒸散
⇒ 中学受験の理科 植物の蒸散
【問題】
ある植物の新しい小枝を使って、条件が異なる7つの状態にして、明るい窓ぎわにしばらくのあいだ放置しました。
容器の大きさと水の量は同じで、葉の大きさ・葉の枚数・茎の太さと長さなどはほぼ同じです。
- A:葉には何もぬらない。
- B:葉には何もぬらない。とうめいなポリエチレンのふくろをかぶせ、ふくろの内と外で空気が出入りしないようにする。
- C:葉の表だけワセリンをぬる。
- D:葉の裏だけワセリンをぬる。
- E:葉の表と裏にワセリンをぬる。
- F:葉には何もぬらない。水面に油を浮かべる。
すべての条件で水の量は減りましたが、減少した水の量から①~⑤の量を求めようと考えています。
- ① 葉の表と裏のみから蒸散した水の量
- ② 葉の表のみから蒸散した水の量
- ③ 葉の裏のみから蒸散した水の量
- ④ 茎のみから蒸散した水の量
- ⑤ 葉いがいから減少した水の量
7つの条件で減少した水の量をそれぞれA~Fとしたとき、①~⑤の値は次のどれに近いでしょうか?
- ア: C - D
- イ: C + D
- ウ: A - F
- エ: A - E
- オ: B + C
- カ: D - E
- キ: A - B
- ク: A - C
- ケ: C - E
- コ: D - C
- サ: C + D - B
- シ: C + D - E
- ス: C + D - A
- セ: E + F - A
解答と解説
【解答】
① エ ② カ、ク ③ ケ ④ セ ⑤ ス
【解説】
多くの解説書では、水が蒸散・蒸発する部分を、表にまとめて整理している例が多いようです。ただし、当サイトではその方法をオススメしません(理由は後ほど解説)。
下図で、「〇:蒸散または蒸発が行われた部分」「×:蒸散または蒸発が行われない部分」を意味します。
なお、ふくろをかぶせたBは内部の湿度が高まって葉の蒸散が弱くなり、正しい量を求められないため表から除いておきます。
- A: 葉の表 〇 葉の裏 〇 茎 〇 水面 〇
- C: 葉の表 × 葉の裏 〇 茎 〇 水面 〇
- D: 葉の表 〇 葉の裏 × 茎 〇 水面 〇
- E: 葉の表 × 葉の裏 × 茎 〇 水面 〇
- F: 葉の表 〇 葉の裏 〇 茎 〇 水面 ×
多くの解説書で述べている上図のような表を、試験の本番で書くと、時間がかかってしまいます。ごていねいに、縦と横の線まで書く人もいるからです。
もし表を書くのであれば、せめて縦横の線がない、下図のようなものにしましょう。
それにしても、上図では「葉の表」「葉の裏」「茎」「水面」と書くのに時間がかかるため、本番むけではありません。もう少し工夫が必要でしょう。
時間をかけない1つの方法として、問題で与えられた図に、以下のような文字を記入していきます。
- 葉の表で蒸散 → 「お」
- 葉の裏で蒸散 → 「う」
- 茎で蒸散 → 「く」
- 水面から蒸発 → 「す」
Aは何もぬらないので、「葉の表で蒸散」「葉の裏で蒸散」「茎で蒸散」「水面から蒸発」となり、「お う く す」です。
Bは先ほど説明したように、検討から除きますから、何も書きません。
Cは葉の表にワセリンをぬるため、「葉の裏で蒸散」「茎で蒸散」「水面から蒸発」で、「う く す」。
Dは葉の裏にワセリンをぬるため、「葉の表で蒸散」「茎で蒸散」「水面から蒸発」で、「お く す」。
Eは葉の表と裏にワセリンをぬるから、「茎で蒸散」「水面から蒸発」で、「く す」。
Fは水面に油を浮かべるだけのため、「葉の表で蒸散」「葉の裏で蒸散」「茎で蒸散」となり、「お う く」。
これらを問題の図に書きこんだのが、下図です。
上図をもとに、問題に示された計算式ア~セの意味を考えていきます。
【ア】
C - D =「う く す」-「お く す」= 「う-お 」(意味なし)
【イ】
C + D =「う く す」+「お く す」= 「う お く く す す 」(意味なし)
【ウ】
A - F =「お う く す」-「お う く」= 「す」(水面の蒸発のみ)
【エ】
A - E =「お う く す」-「く す」= 「お う」(葉の表と裏による蒸散)
【オ】
B + C → Bが含まれるため、意味なし
【カ】
D - E =「お く す」-「く す」= 「お」(葉の表による蒸散のみ)
【キ】
A - B → Bが含まれるため、意味なし
【ク】
A - C =「お う く す」-「う く す」= 「お」(葉の表による蒸散のみ)
【ケ】
C - E =「う く す」-「く す」= 「う 」(葉の裏による蒸散のみ)
【コ】
D - C =「お く す」-「う く す」= 「お-う」(意味なし)
【サ】
C + D - B → Bが含まれるため、意味なし
【シ】
C + D - E =「う く す」+「お く す」-「く す」= 「お う く す 」(葉の表と裏および茎による蒸散 + 水面の蒸発)
【ス】
C + D - A =「う く す」+「お く す」-「お う く す」= 「く す 」(茎による蒸散+水面の蒸発 → 葉いがいから水が減少)
【セ】
E + F - A =「く す」+「お う く」-「お う く す」= 「く 」(茎による蒸散のみ)
植物の蒸散に、もどりましょう。
⇒ 中学受験の理科 植物の蒸散
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