中学受験の理科 天体(太陽/月/星/地球)の基本を確認しましょう!

 

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2022/12/08

 

中学受験の理科で、天体の主役といえば、「太陽」「月」「星」。「地球」との関係がそれぞれ異なるので、テーマごとに何の条件が異なっているのか、頭の中を切りかえながら学習を進めてください。

「太陽」は当サイト、「月」と「星」は2冊目の図書「【伝家の宝刀】力学・天体・化学計算の解法」で整理していますから、そちらでじっくり取り組んでいただくとして、ここでは天体テーマ全般に関する基本中の基本を、取りあげます。

 

各テーマに深く入りすぎて、いがいにも基本を忘れ去る人が多かったりするので、いったん天体の常識というものを、確認してみることも必要でしょう。

天体とは、テキストの中に存在するのではなく、宇宙という立体空間を、いま現在も漂い続けているのです。少なくとも、夜空を自分の目で確かめ実感してから、テキストによる学習を進めてください。

 

たとえば、「太陽・月」と、「星」は、地球との関係という意味で、完全に次元の異なる世界といえます。その違いとは、何でしょうか?

受験勉強はもちろん大切ですが、私たちは宇宙を学んでいるのですから、じっさいの姿を知ったうえで、次に進んでいきましょう!

 

 

本番までに与えられた時間の量は同じなのに、なぜ生徒によって結果が違うのか。それは、時間の使いかたが異なるからです。どうせなら近道で確実に効率よく合格に向かって進んでいきましょう! くわしくは、以下からどうぞ。
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「月」は地球の衛星で、地球にもっとも近い天体です。太陽系の中心である「太陽」も、地球にとっては身近な存在といえます。

  • 地球と月の距離  : 約38万km
  • 地球と太陽の距離 : 約1億5000万km

 

ところが、「星」は気が遠くなるほどかなたにあり、地球に近く全天でもっとも明るいシリウスでも、地球からの距離は8.6光年。1光年は約9兆4600億kmですから、すでに太陽系の世界とは次元が異なります。

参考までに、中学受験で登場するおもな星について、地球からの距離は次のようになります(覚える必要はありません)。

 

 

【夏の大三角】

ベガ(こと座、白色)    :  25光年

アルタイル(わし座、白色) :  16光年

デネブ(はくちょう座、白色):1800光年

 

【冬の大三角】

シリウス(おおいぬ座、白色)  : 8.6光年

プロキオン(こいぬ座、黄色)  :  11光年

ベテルギウス(オリオン座、赤色):500光年

 

リゲル(オリオン座、青白色):460光年

 

北極星(こぐま座の2等星)  :430光年

 

銀河系の直径は、約10万光年。太陽系は、銀河系の中心から、約3万光年の位置にあります。

さらに、多くの銀河系が集まって銀河団、銀河団が集まって超銀河団など、宇宙は果てしなく広がるのです。

 

地球人は「自転」とか「公転」とか言っていますが、遠い「星」から見れば、地球の自転も公転も大きな違いはありません。

おおげさに「地球の公転半径」と定義している距離も、はるかな宇宙においては点にもならないほど。自転でクルクル回りながら、同じ場所で公転としてもクルクル回っているようなものです。

 

さて、前置きが長くなりました。ここから先は、もう少し具体的な話に移ります。

 

星座早見

 

天体で最初に理解しておくべきことは、空の方角でしょう。私たちがふだん使う地図は、地面上の場所を示すものですが、天体の場合は空を見上げているのですから、天空上の場所を示す地図も必要になってきます。

それが、星座早見盤(または星座早見)。小学4年生で、完全に理解しておくべき内容です。

 

空の方角は、天体における基本中の基本ですから、念のためこの場で頭を整理しておきましょう。

たとえば、南の空にある星を調べるときには、星座早見盤の「南」と書かれている部分を下に向けます。「星座盤(A)」の月日と、「地平盤(B)」の時刻を合わせて、星座早見盤と星空と見比べるわけです。

 

星座早見盤の「C」は北極星(「円盤=天空」の中心)、「D」は天頂「E」は地平線で、方角(F: 東、G: 西、H: 北、I: 南)も印刷されています。

このとき、北が上で南が下なのに、なぜ東は左なのか、という点が天体における「最初の一歩」。質問しても、正確に答える生徒は非常に少ないです。

 

「地面と空は逆だからです。」と自信満々に答える生徒にかぎって、じつはそのように暗記しているだけで、なぜ逆なのかを質問すると黙ってしまいます。

何度でもくりかえしますが、これは天体の基本なのですから、暗記せずに体感してください。脳ではなく、カラダで常識を身につけるのです。

 

 

板書やテキストを「見て理解」するのでなく、完全に自分が「観測者(図の赤丸)」となりきってください。

まず、南の地平線に向いて、少しずつ空を見上げていきます。黄色の星あたりにたどり着いたとき、北は顔の上方向で、南が顔の下方向になっているはず。そのとき、向かって右方向が西で、左方向は東だということを、体感できますか?

 

このようにして、板書やテキストの中で自分が体感することこそ、まさに【天体の学習方法】といえるのです。

 

夏の大三角 はくちょう座

 

「にぎりこぶしを、星空に向かって伸ばしたとき、夏の大三角の三辺は、それぞれこぶし何個分でしたか?」と出題されて、目が点にならないよう、ちゃんと星空をながめておいてくださいね。

デネブとは、アラビア語で「(めんどりの)尾」を意味する単語だそうですが、天頂で羽ばたく白い尾の白鳥は、どちらの方角に向かっているのでしょうか?

 

白鳥は、ちょうど川の真ん中あたりを、赤い矢印の方角に向かって飛んでいます。

ちなみに、こと座のベガ(おりひめ星)は川岸で、わし座のアルタイル(ひこ星)が川につかっていることは、覚えておいてください。

 

 

話を、はくちょう座にもどします。そもそも、「夏の大三角」が天頂あたりを通るということは、「夏至の日の太陽」よりも長い時間をかけて、天空を移動するということです。

天頂あたりのようすを、さらに詳しく見てみると、ベガとデネブは天頂よりも少し北側、アルタイルは南側を通っていることが分かります。

 

ベガとデネブは、ほとんど同じ道を通って東から西に進みますから、ベガから見てデネブの方向はつねに東、逆にデネブから見てベガはつねに西の方向にあります。

ベガ、デネブから見て、アルタイルは南、逆にアルタイルからはベガ、デネブが北方向です。

 

はくちょう座が天頂で目指す方角は、ベガ(西の方向)とアルタイル(南の方向)の真ん中あたりでしたから、「西南の方向」ということになります。

 

本番までの限られた時間を、もっと効率よく使いましょう! 以下の記事を、ご覧ください。
中学受験 理科 偏差値アップの勉強法

 

 

テキストで「地球」と「月」を見ていると、じっさいの宇宙空間のようすが、分からなくなってしまうかもしれません。知識として頭の中にあるのは、次のような情報です。

  • 月の直径       : 約  3500km
  • 地球の直径    : 約13000km(月の約4倍)
  • 地球と月の距離  : 約38万km(地球の直径の約30倍)
  • 太陽の直径    : 約140万km(地球の約100倍、月の約400倍)
  • 地球と太陽の距離 : 約1億5000万km(「地球」と「月」の距離の約400倍)

 

「地球」から「太陽」までの距離は「月」までの約400倍、「太陽」の直径も「月」の約400倍ですから、「太陽」と「月」は「地球」から同じ大きさに見える、ということは理解できるでしょう。

ところが、これらの情報をもとにして「月」と「地球」の関係を図にしてみると、上図のようになります。くり返しますが、「地球」の直径は「月」の4倍、「地球」から「月」までの距離は、「地球」の直径の約30倍なのです。

 

月食と日食

ふだんテキストで見なれた「地球」と「月」は、宇宙空間ではこれほど離れているということです。では、「月食」や「日食」とは、どのような現象なのでしょうか。

図で「太陽」が左側にあれば、宇宙空間には「地球」の影が右側に伸びて、「月」が地球の影に入り、「月食」が起こります。

 

「地球」の直径を1センチメートルとしたとき、「太陽」は、100メートル先にある直径1メートルの球です。

その「太陽」と「地球」のあいだに「月」がやってきて、「月」にかくれて「太陽」が見えなくなるのですから、日食が宇宙空間において、どれほど奇跡的な現象であるか実感できるでしょう。

 

月の公転

 

天体は常に宇宙の立体空間を移動していますから、たとえばテキストの中心に「地球」があって、そのまわりを「月」が公転していたとして、その「地球」だって動いています。

つまり、「星」「太陽」「月」「地球」はつねに、宇宙空間のなかで、お互いの関係が変化するということです。

 

図のA点にある「地球」に対して、「月」がC点にあったとします。ちなみに、ここでは説明しませんが、C点の月は「新月」。

「月」が「地球」のまわりを公転しているときも、「地球」は「太陽」のまわりを公転しているわけです。

 

「月」が「C→D→E→F」と移動して、約1ヶ月後に再び「新月」になるとき、「地球」は公転してB点へ。

ということは、月の動きというのは、単純に地球のまわりを回転運動しているのではなく、「らせん運動」をしながら、地球とともに太陽のまわりを移動していることになります。

 

こうして、「月」と「地球」は1年かけて、太陽との位置関係を変えながら四季をむかえているし、たとえば「満月」もつねに同じ見えかたをするのではなく、1年のあいだに見えかたも変わるのです。

詳しくは、図書「【伝家の宝刀】力学・天体・化学計算の解法」でじっくりと学習してください。

 

本番までの限られた時間を、もっと効率よく使いましょう! 以下の記事を、ご覧ください。
中学受験 理科 偏差値アップの勉強法

 

太陽

 

「太陽」で理解すべき基本の内容は、すでに当サイトで整理しました。ここで取りあげるのは、天体の常識と考えてください(数字を覚える必要はありません)。

太陽系のご主人さま「太陽」は、とても軽い恒星です。重さは地球の約33万倍で、体積は地球の約130万倍、かたい地面におおわれるのではなく、気体の集まりといえます。

 

気体の「太陽」が自転していることは、黒点を観察することによって分かります。黒点が「太陽」の表面にくっついて、「太陽」の活動とともに移動していくからです。

「太陽」の自転の向きは地球と同じで、地球の北極側から見て反時計回り。自転のスピードは、赤道あたりで1回転に約27日、緯度30度あたりでは約28日以上と、場所によって自転の速さも異なります。

 

中心の温度は約1500万度、表面が約6000度。黒点が黒く見えるのは、約4500度とまわりよりも温度が低いからです。中心から離れているコロナが、約100万度以上もあるとは、不思議なことですね。

ちなみに、物体から放たれる光の色は、その温度によって決まります。つまり、同じ色の恒星は表面温度も同じということ。北極星は太陽と同じ黄色ですから、表面温度も「太陽」と同じです。

 

念のため確認しておきますが、「月も黄色だから、表面温度は6000度なんだー!」なんて思わないでくださいね。「月」は自分で光を放っているのでなく、「太陽」の光を反射しているだけですよ!

 

南中高度

 

「太陽」と「地球」の関係について、とても有名な話が、ギリシアのエラトステネス(紀元前275年~紀元前194年)。彼は、2つの地点における南中高度の違いから、世界で最初に地球の大きさを測りました。

具体的な考え方は、次のようなものです。

 

アレキサンドリア(図の青色)の真南に位置するシエネ(図の赤色)では、毎年「夏至の日」の正午、井戸の奥深くにある底にまで、日光が届いたそうです。つまり、このときシエネの天頂に、太陽が位置するということです。

同じ時刻に、アレキサンドリアにおける太陽の位置は、天頂から7.2度はなれていました。シエネとアレキサンドリアの距離が、約925キロメートルあることは、すでに分かっています。

 

そこでエラトステネスは、地球を球体と考えたとき、925キロメートルが7.2度にあたるのだから、360度(7.2度の50倍)の円周全体は、4万6250キロメートル(925キロメートルの50倍)であると計算しました。

2000年以上も前に推測した数字と、実際の距離との誤差は、16パーセントです。

 

以上の話と、当サイトの「太陽」で学ぶ内容を合わせると、シエネの緯度を求めることができます。

 

「夏至の日」における、シエネの南中高度が90度なので、

90度-シエネの緯度+23.4度=90度(南中高度)

 

つまり、シエネの緯度は、23.4度だったということです。

 

本番までの限られた時間を、もっと効率よく使いましょう! 以下の記事を、ご覧ください。
中学受験 理科 偏差値アップの勉強法

 

地球

 

最後は、「地球」の環境問題です。

「月」と「地球」は近くにありながら、地球に大気があり、月にはありません。

 

「月」も「地球」も「太陽」にあたためられるのですが、「月」の場合は熱が冷たい宇宙に向けて放出され続けるため、表面温度の平均は「マイナス23度」といわれます。

いっぽう、「地球」の大気中には温室効果ガスが含まれ、宇宙に向かう熱を吸収して、「地球」にもどすはたらきをしてます。そのため、まさに温室効果によって、地球の冷却を防いでいるのです。

 

あたたかい「地球」は、温室効果ガスのおかげなのですが、増えすぎると「地球」の表面温度も上がり、現在の状態は地球温暖化が問題となっているわけです。

人類の活動にともなう温室効果ガスの増加は、メタン、一酸化炭素、フロンなどもありますが、ダントツに多いのが二酸化炭素なので、環境問題の中心として着目されるようになりました。

 

図は、二酸化炭素濃度の変化をあらわすものですが、つねに増え続けるなかで、増加と減少をくり返すことが示されています。

植物の光合成が活発な、夏(Yの部分)に二酸化炭素濃度は下がり、冬(Xの部分)には上がることが分かりますね。

次のテーマでは、太陽の動きを具体的に解説していきます。以下の記事を、ご覧ください。
中学受験の理科 太陽の動き~これだけ習得すれば基本は完ペキ!

 

 

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くわしくは、以下の記事をご覧ください。
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