中学受験の理科 気象(2)~気温と太陽および熱の伝わり方との関係

 

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2023/09/08

1年の中で気温が最高になるのは、7~8月頃ですね。なぜ、南中高度がもっとも高く、昼がもっとも長い「夏至の日」ではないのでしょうか。

同じように、1日の中で気温が最高になるのは午後2時頃であり、太陽高度がもっとも高い「南中時刻(昼の12時)」でないのは、なぜなのか。

 

これらの問いは分野でいうと「気象」といえますが、「太陽の動き」と「熱の伝わり方」を理解していなければ、答えることはできません。

今回のテーマを学習するときは、次の順番を守るようにしてください。そうしないと、何が何だかさっぱり分からなくなってしまうでしょうから。

 

【1】
まずは、「気象(1)」で低気圧・高気圧の仕組みを確認します。
中学受験の理科 気象(1)

【2】
次に、「熱の伝わり方」の内容を理解してください。
中学受験の理科 熱の伝わり方(伝導・対流・放射)の基本まとめ

【3】
最後に、この記事を読み進めます。理解し終えたら、「太陽の動き」をさらに詳しく学びましょう。
中学受験の理科 太陽の動き~これだけ習得すれば基本は完ペキ!

 

気温については、細かな仕組みをテストで問われることはあまりありません。さまざまなテーマのおさらいをしながら、組み合わせて考えてみる練習だと思って、気軽に読み進めてくださいね。

 

 

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気象の基本1~太陽の放射熱

 

「熱の伝わり方」で解説したように、太陽が発する熱は、はるか宇宙空間のかなたから放射によって地球に達しました。地球に届いた熱の行方は、以下の3つに分かれます。

  1. 大気によって反射され、地表まで届かない。
  2. 大気を直接あたためる。
  3. 地表を直接あたためる。

 
このうち、もっとも多くをしめるのが、3つめの「地表を直接あたためる」熱です。つまり、気象テーマとしては、太陽の熱は地面の温度(地温)を上げると考えても良いでしょう。

 

 

太陽の熱は光(赤外線)に乗って地表面に届きますが、太陽の高度によって地表面が受けとる熱量は異なります。太陽高度が低い場合(下図の右)は、太陽高度の高いとき(下図の左)に比べて、地表面が太陽からもらう熱量は少ないのです。

このことから、地表面が太陽からもっとも多く熱量を受けとるのは、太陽高度がもっとも高いときであるといえます。1日であれば「南中時刻(昼の12時)」、1年であれば「夏至の日(6月)」ということですね。

 

 

気象の基本2~地温の上昇

放射で地表面に届いた熱は、地面をあたためます。熱は伝導によって地面の中に伝わっていきますが、土というのは金属のように熱を伝えやすい物質ではありませんから、地温が上昇するには時間がかかるのです。

夏の砂浜で、表面は熱くても、少しほると地中はそれほど熱くないことから、土が熱を伝えやすい物質ではないことが分かりますね。

 

 

地表面がもっとも多く熱量を受けとってから、地温が最も高くなるまでには、時間がかかるということ。1日の最高地温は南中時刻から1時間ほど遅れ、1年の最高地温は夏至の日から1ヶ月ほど遅くなるわけです。

具体的には、1日で地温がもっとも高くなるのは午後1時ころ、1年では7月ころに最高地温となります。

 

気象の基本3~気温の上昇

地表面に接している空気は、地面から伝導によって熱が伝えられて、温度が上がります。

熱を与えられた空気は、膨張(ぼうちょう)して軽くなるので上昇し、対流によって気温が上がっていくわけです。

 

気温が最も高くなるまでには、最高地温からさらに時間がかかるということ。1日の最高気温は午後1時ころから1時間ほど遅れ、1年の最高気温も7月ころから1ヶ月ほど遅くなるわけです。

具体的には、1日で気温がもっとも高くなるのは午後2時ころ、1年では8月ころに最高気温となります。

 

 

ちなみに、日の出までは気温も地温も下がり続けるので、1日の中で気温と地温が最低になるのは日の出前です。

また、南中高度が最も低い「冬至の日」に地面が受ける熱量は最小であり、1年の中で気温と地温が最低になるのは1~2月ごろとなります。

 

気象の基本4~海風と陸風

最後に、これまで学習してきた内容から、海風と陸風の現象を考えてみましょう。前提として、次の点を覚えておいてください。

  • 陸(土)は、あたたまりやすく、冷えやすい。
  • 海(水)は、あたたまりにくく、冷えにくい。

 
昼は砂浜をはだしで歩くと「アチチ・・」となりますが、海に入ってもそうはなりません。夜は砂浜が冷たくても、海の中はあたたかかったりしますよね。
 

【昼:海風】

  1. 海(水)よりも陸(土)があたたまりやすいため、海上の空気より陸上の空気のほうが、あたたかくなる。
  2. そのため、陸上の空気のほうが海上よりも軽く、上昇していく。
  3. 空気が上昇したところをうめるように、海上から空気が流れこむ(海風)。

 

 

【夜:陸風】

  1. 陸(土)よりも海(水)が冷えにくいため、陸上の空気より海上の空気のほうが、あたたかくなる。
  2. そのため、海上の空気のほうが陸上よりも軽く、上昇していく。
  3. 空気が上昇したところをうめるように、陸上から空気が流れこむ(陸風)。

 
ちなみに、海岸地方で、夕方(昼と夜の境い目)や朝方(夜と昼の境い目)におとずれる無風の状態を、「なぎ」といいます。
 

次のテーマでは、「日本の季節と天気」を詳しく見ていきます。
中学受験の理科 気象(3)~日本の四季と偏西風・季節風・気団の関係

 

 

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