中学受験の理科 気象(4)~天気のことわざ観天望気(かんてんぼうき)
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2023/09/17
人々の生活にとって、天気予報が重要であることは言うまでもありません。明日のお出かけでカサが必要かどうかに始まり、漁に出る人にとっては急に雨が降れば危険だし、農作業を行う場合は雨によって途中で作業が中断となるかもしれないわけです。
要するに、人々が最も気になる天気予報とは、「いつ晴れて、いつは雨なのか?」という点であり、それは今も昔も変わりません。今ではスーパーコンピュータを利用して天気の変化を予測するようになりましたが、昔の人たちはどうしていたのか?
身近な自然(雲・風・気温・湿度・太陽・月・星・光・生物など)をじっくりと観察しながら、天気の変化を知ろうとしたのです。そのような行動を、「天(空)を観て、将来の天気を望む(期待する)」ことから、観天望気(かんてんぼうき)と呼びます。
気象テーマの最後に、今でも役立つような観天望気と、そのように予測できる理由を整理します。これまで学習してきた内容を振り返りながら、覚えるのではなく納得しながら読み進めましょう。
なお、これまでの気象テーマをまだ学習していない人は、最初(⇒ 中学受験の理科 気象(1) )から順に確認してくださいね。
本番までに与えられた時間の量は同じなのに、なぜ生徒によって結果が違うのか。それは、時間の使いかたが異なるからです。どうせなら近道で確実に効率よく合格に向かって進んでいきましょう! くわしくは、以下からどうぞ。
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目次
朝焼けは雨
朝焼けというのは、太陽高度の低い朝方に、太陽方向の空(東の空)が赤く見えるものです。晴れた太陽方向から光が届きますが、光の性質から、太陽光に含まれる赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の光のうち、とくに赤色の光が見える状態です。
日本の天気は偏西風の影響を強く受けるのですから、天気は西から東へと移動する場合が多いといえます。つまり、いま東の方が晴れているということは、西のほうから低気圧が近づいてくると考えられ、しだいに西から雨になっていくだろうというわけです。
とくに、西から東へと低気圧・高気圧が交互に日本を通過していく春と秋には、この予測が当たる可能性は高いと言えるでしょう。
夕焼けは晴れ
夕焼けは、太陽高度の低い夕方に、太陽方向の空(西の空)が赤く見えます。空が赤く見える理由は、朝焼けの場合と同じです。要するに夕方、西が晴れているということ。
偏西風による西から東に向かう天気の移動を考えると、夕方に西が晴れていれば、翌日にその地域は晴れるだろうと予測できます。
日がさ・月がさは雨
昼のあいだ太陽のまわりや、夜になって月のまわりに雲がはって、ぼんやりした光の輪ができ、暈(かさ)をかぶっているように見える状態を、「日がさ」「月がさ」と呼びます。
これは、雲の中でも空の高いところ(5,000~15,000メートルくらい)にできた巻層雲(けんそううん、うすぐも)などに、太陽や月の光が当たって起こる現象です。
巻層雲とは空を広くおおう、うすく白い雲。低気圧や前線が接近する前に現れることが多いため、太陽や月に暈(かさ)がかかると天気は下り坂となり、やがて雨が降ると予測できます。
ツバメが低く飛ぶと雨
ツバメは、飛んでいる昆虫などを空中でつかまえて食べ、水面の上を飛行しながら水を飲むという特ちょうを利用した予測の方法です。
ツバメのエサになる虫の羽や体は、低気圧が近づいて湿ってくると、湿気・水分をおびて重くなり、高く飛びずらく なるため、虫を追いかけるツバメも低く飛ぶといわれます。
ちなみに、多くのツバメは冬を南の国で過ごしますから、この天気予報を一年のあいだ、ずっと使うことはできません。
雲の観察による天気の予測
身近な自然現象のうち、天気を予測するうえでもっとも確実なのは、雲の観察といえるでしょう。
飛行機雲
飛行機雲とは、飛行機の排気(はいき)ガスの中にある細かなチリのまわりに、空気中や排気ガスに含まれる水蒸気が固まってできた雲です。もちろん、自然に発生したものではありません。
「飛行機雲が長く続くと、翌日は雨」といわれます。これは、飛行機雲が蒸発しにくいのは、上空の湿度が高いから。
逆に上空の湿度が低いと蒸発しやすいため、「飛行機雲がすぐに消えると晴れ」といわれることもあります。
かさ(笠)雲
山の頂上あたりに雲がかぶさった状態を、かさ(笠)雲と呼びます。上の画像2つを例にして、考えてみましょう。上空では、ともに左から右方向に風がふいています。
上空を流れる湿った空気が山の斜面にぶつかると(山の左側)、上昇気流となって雲ができます。逆に、山の頂上をこえて空気の流れが下降気流になると(山の右側)、雲は消えるわけです。
このように、雲の「発生(山の左側)」と「消える(山の右側)」ということを絶えずくり返すことによって、山頂あたりで雲が止まって見える現象となります。
このとき上空は湿っているのですから、やがて地上でも雨が降りだす前ぶれといえるでしょう。これが、昔から「富士山に笠雲がかかると雨」といわれる理由です。
積乱雲(せきらんうん、にゅうどうぐも)
積乱雲の上部は高度が高いため、氷の粒になっています。そのため、雨だけでなく「雷」「雪」「ひょう」をともなうこともあり、「かみなり雲」とも呼ばれるほどです。
急に雨が降ってカラっと晴れる、「にわか雨」型の雲といえます。
巻雲(けんうん、すじぐも)、巻積雲(けんせきうん、うろこぐも)
ともに高い空(5,000~15,000メートルくらい)で発生し、巻雲は「すじ状の白い雲」、巻積雲は「白い小石やウロコを並べたような雲」です。
台風が近づくと、最初に巻雲が現れ、次に巻積雲が現れるため、天気が悪化する前ぶれといわれています。
高層雲(こうそううん、おぼろぐも)、乱層雲(らんそううん、あまぐも)
高さ2,000~7,000メートルくらいの空に発生する、ともに暗い灰色の雲です。乱層雲は「あま雲」という名前のとおり、弱い雨や雪を一定の強さで長く降らせる雲です。
高層雲が発達すると、下のほうが乱層雲となるため、「おぼろ雲(高層雲)は雨の前ぶれ」といわれます。
以上で「気象(4)」を終わります。次のテーマは、「湿度・飽和水蒸気量・露点とフェーン現象」です。中級編ですから、必ずしも学習する必要はありません。
⇒ 中学受験の理科 気象(5)~湿度・飽和水蒸気量・露点とフェーン現象
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