中学受験の理科 氷/水/水蒸気~状態(固体/液体/気体)の変化
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2023/08/28
すべての物質は、温度や圧力などの条件によって固体・液体および気体という3つの状態に変わることができます。
この3つの状態を、「物質の三態」といいます。
たとえば私たちが日常生活で経験する温度(常温という)や圧力(常圧という)において、鉄は固体です。ところが温度や圧力などの条件によって、鉄は液体になることも気体になることもあるということです。
また酸素が常に気体であるわけではなく、条件しだいでは酸素が液体になることも固体になることもあるのです。
あらゆる物質のなかで、常温・常圧で固体・液体・気体という3つの状態に変化することができる物質は水だけです。
今回は熱エネルギーの出入りによって固体・液体・気体の各状態で水が変化するようすを詳しく見ながら、さまざまな日常生活における具体的な例を取りあげてみます。
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氷と水と水蒸気
すべての物質について、もっとも細かな単位は分子(原子という部品の集まり)で、1つ1つの分子は小さすぎて人間の目には見えません。
水のもっとも細かな単位は「水」の分子です。氷も水も水蒸気も「水」の分子が集まっていることに変わりないのですが、固体と液体と気体とでは分子の集まり方に違いがあります。
固体の水(氷)は、多くの分子がしっかりと腕を組んだ状態で集まっています。分子の1つ1つは目に見えないほど小さくても、多く集まれば見えるようになります。
しっかりと腕を組んだ状態ですから、かたいということも理解できると思います。
固体の水に熱エネルギーを加えると、組んでいた腕がゆるくなって液体の水となります。固体の場合と違って分子どうしは離れた状態なので、人間の目にツブは見えず透明です。
それでも分子どうしで腕は組んでいますから、なんとなく水という物質の存在が見えるし、組む腕がゆるいのでやわらかく形を自由に変えることができます。
液体の水に熱エネルギーを加えると、もはや分子どうしが腕を組むのをやめて自由に飛びまわる気体の水(水蒸気)となります。細かな水の分子が散らばった状態ですから、人間の目には透明で何も見えません。
分子どうしは腕を組んでいませんから、液体の水よりもさらに形を自由に変えることができます。
熱エネルギーを失うと以上に説明したことの逆がおこりますし、水は熱エネルギーのやりとりによって固体・液体・気体と状態を変えることになります。
注意していただきたいのは、気体だけは目に見えませんし、逆に言えば「目に見える」ものは気体ではなく液体か固体だということです。
固体の氷が液体の水へ、液体の水が固体の氷へ
氷は冷やせば温度が下がっていきますが、熱を加えても温度が0度より上がることはありません。
熱エネルギーを加えても温度が上がらないことを不思議に思うかもしれませんが、加えた熱エネルギーのすべては、しっかりと組んでいた分子どうしの腕をゆるめることに使われます。
こうして固体の氷がすべて液体の水に変わるまで温度は0度のままで、すべてが液体の水に変わったあとは水の温度が上がっていきます。
霜柱(しもばしら)は土の中に含まれる液体の水が冷やされて、固体の氷に変化したものです。
氷柱(つらら)は、屋根の雪がとけて液体の水になり、たれ落ちる時に冷やされて固体の氷へと変化したもので、上から下へ少しずつ成長していきます。
本番までの限られた時間を、もっと効率よく使いましょう! 以下の記事を、ご覧ください。
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液体の水が気体の水蒸気へ、気体の水蒸気が液体の水へ
雨がふってできた水たまりは、いつのまにか消えてなくなってしまいます。液体の水があたためられて、気体の水蒸気に変化したのです。
洗たく物がかわくのも、同じ仕組みです。
冷たい水を入れたコップのまわりが白くくもって、水滴ができます(図の左)。コップのまわりの空気中に含まれる気体の水蒸気が冷たいコップで冷やされて、液体の水となって現れたものです。
寒い日の窓ガラスでも、同じような現象を見ることができます。
やかんの水がふっとうした様子(図の右)を観察すると、注ぎ口の直後は透明です。この部分は液体の水が気体の水蒸気に変化しており、気体の水蒸気は目に見えませんから透明なのです。
注ぎ口から少しはなれた部分では、気体の水蒸気がまわりから冷やされて液体の水へと変化し細かな水滴の集まりとなるので、けむりのような目に見える状態となっています。
おなべのふたを取ると白いゆげが上がるのも、水蒸気が細かな水滴になったものです。ちなみに水が水蒸気に変化する時は体積が約1700倍、逆に水蒸気が水に変化する時は体積が約1700分の1になります。
おみそしるを入れたおわんのふたが取れにくくなるのは、おわんの中の水蒸気が冷えて水に変わり、気圧が下がった状態(まわりの気圧でふたが押された状態)となっているからです。
霧(きり)も露(つゆ)も、空気中の水蒸気が冷やされて液体の水になったものです。
霧の場合は細かな水のツブが空中を漂っている状態で、露はツブがさらに集まって水滴となったものです。
気体の水蒸気が固体の氷へ、固体が気体へ
雲を気体と思っている人が多いのですが、気体は目に見えないのですから液体か固体ということになります。
つまり「細かな水滴(液体)」または「細かな氷のツブ(固体)」が集まったものです。空気中の水蒸気が上空で冷やされるのですが、上空の気温の低さによって液体か固体かが決まります。
霜(しも)は、寒い日に空気中の水蒸気が冷やされて「細かな氷のツブ(固体)」となったものです。
水の場合、固体の氷が気体の水蒸気に変化する例は、身の回りにありません。ドライアイス(固体の二酸化炭素)や家庭の防虫剤(ナフタレンなど)などが、昇華(固体から気体)の例となります。
次は、「水の状態変化」を別の視点から、さらに詳しく見ていきましょう。以下の記事を、ご覧ください。
⇒ 中学受験の理科【化学の基礎固め】熱エネルギーと水の状態変化との関係
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