中学受験の理科 人体の消化についての問題演習と解説【応用編】

 

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2021/07/01

 

この演習問題は、かならず以下の学習を終えてから取り組んでください。

人体(消化)
中学受験の理科 人体の覚え方(消化)~この方法がオススメ!

 

【問題】

うすいデンプン液、うすめただ液、試験管、ビーカーを用意して、口の中におけるだ液のはたらきを調べる実験をしました。

用意したのは、A~Hのセットです。20分後に各試験管の液を取り出してヨウ素液を加え、色の変化を調べると以下のようになりました。

 

セットA

  • 試験管:0℃のデンプン液 + 0℃のだ液
  • ビーカー:0℃の氷水
  • 結果:色が変化した

 

セットB

  • 試験管:40℃のデンプン液 + 40℃のだ液
  • ビーカー:40℃のぬるま湯
  • 結果:色は変化しなかった

 

セットC

  • 試験管:80℃のデンプン液 + 80℃のだ液
  • ビーカー:80℃の湯
  • 結果:色が変化した

 

セットD

  • 試験管:まず0℃にしてから40℃にしたデンプン液 + 40℃のだ液
  • ビーカー:40℃のぬるま湯
  • 結果:色は変化しなかった

 

セットE

  • 試験管:まず80℃にしてから40℃にしたデンプン液 + 40℃のだ液
  • ビーカー:40℃のぬるま湯
  • 結果:色は変化しなかった

 

セットF

  • 試験管:40℃のデンプン液 + まず0℃にしてから40℃にしただ液
  • ビーカー:40℃のぬるま湯
  • 結果:色は変化しなかった

 

セットG

  • 試験管:40℃のデンプン液 + まず80℃にしてから40℃にしただ液
  • ビーカー:40℃のぬるま湯
  • 結果:色が変化した

 

セットH

  • 試験管:40℃のデンプン液 + 40℃の水
  • ビーカー:40℃のぬるま湯
  • 結果:色が変化した

 

試験管A~Hのうち、次の(1)~(3)の組み合わせで試験結果を比べたとき、それぞれ何が分かるのか簡単な文章で答えてください。

(1) BとHの試験結果を比べる

(2) AとBとCの試験結果を比べる

(3) FとGの試験結果を比べる

 

解答と解説

【解答】

(1)
水はデンプンを変化させるはたらきはないが、だ液はデンプンを別の物質に変化させるはたらきがある。

(2)
だ液は40℃だとデンプンを別の物質に変化させるが、0℃や80℃でははたらかない。

(3)
だ液を0℃の低温にしても、その後40℃にすればデンプンを別の物質に変化させる。だ液を80℃の高温にすると、その後40℃にしてもはたらかない。

 

 

【解説】

ヨウ素液(黄かっ色)の色は、デンプンがあると青むらさき色に変化します。この実験における結果は、「色の変化」によって「だ液のはたらき」が示されることに注意してください。

  • 色が変化した → デンプンは変わらず残っていた → だ液ははたらかない
  • 色は変化しない → デンプンが別の物質に変化した → だ液ははたらく

 

このような問題を解く場合は、いつまでも色の変化にとらわれず、実験結果が示す意味で考えることが重要です。つまり、与えられた表を、以下のように置きかえて考えましょう。

 

 

すると(1)で問われているのは、以下のような比較実験の結果です。

  • 同じ条件は、「試験管に入れるデンプン液の温度」「デンプン液に加えるものの温度」「20分のあいだ保つ温度」で、すべて40℃。
  • 異なる条件は、「デンプン液に加えるもの」で、試験管Bは「だ液」、試験管Hは「水」。
  • 結果は、試験管Bが「デンプンは別の物質に変化した」で、試験管Hは「デンプンは変化しない」。

 

 

試験管Bに「40℃のデンプン液」と「40℃のだ液」を入れて、20分間40℃を保つと、デンプンは変化して別の物質に変化した。

試験管Hに「40℃のデンプン液」と「40℃の水」を入れて、20分間40℃を保つと、デンプンは変化しなかった。

 

異なる条件は「だ液」「水」だけですから、だ液はデンプンを別の物質に変え、水にそのようなはたらきはないことが分かります。

なお、「だ液にふくまれる消化酵素は、デンプンを麦芽糖に変える」という知識があるからといって、そのような記述をしないよう注意してください。この実験の結果だけで、「麦芽糖に変化」したかどうかは分かりません。

 

 

(2)では、以下のような比較実験の結果を問われています。

  • 同じ条件は、「試験管に入れるもの」で、「デンプン液」と「だ液」。
  • 異なる条件は、「試験管に入れるものの温度」と「20分のあいだ保つ温度」で、試験管Aはすべて0℃、試験管Bはすべて40℃、試験管Cはすべて80℃。
  • 結果は、試験管Bが「デンプンは別の物質に変化した」で、試験管AとCは「デンプンは変化しない」。

 

 

温度の違いによる、だ液のはたらきを実験していることが分かります。だ液は40℃ではデンプンを別の物質に変えますが、0℃や80℃でははたらかないということです。

 

 

(3)では、次のような比較実験を行っています。

  • 同じ条件は、「デンプン液の温度」と「20分のあいだ保つ温度」で、ともに40℃。
  • 異なる条件は、「デンプン液に加えるだ液の温度」で、試験管Fは「まず最初は0℃にして、その後40℃にする」、試験管Gは「まず最初は80℃にして、その後40℃にする」。
  • 結果は、試験管Fが「デンプンは別の物質に変化した」で、試験管Cは「デンプンは変化しない」。

 

 

だ液を最初に低温の0℃にしても、その後40℃にすればはたらきますが、最初に高温の80℃にしてしまうと、その後40℃にしてもはたらかないことが分かります。

消化酵素は体温ぐらいの温度で最もよくはたらきますが、たんぱく質でできているため、いったん加熱すると変質してしまい、はたらかなくなってしまうのです。

 

 

「人体(消化)」に、もどりましょう。
中学受験の理科 人体の覚え方(消化)~この方法がオススメ!

 

 

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